夢の記憶と記録

慣れないパソコン作業にテンパっていた6月。

あれほど座っていられなかった人間が一定時間じっとしているのが奇跡だった。

初めて味わう独特の疲れのせいでぐっすり眠っていたのか？しばらく夢も見なかった。

夢は結構よく見るほうだ。人によるが、私はくっきりカラーでセリフもはっきり覚えていて触った感触なんかも残る。夢占いとかいうのもあったが、そういうハマり方ではなく、自分で勝手に分析して楽しむ方が好きだ。

もう10年以上前からやっていたことだが、あまりにも鮮明な夢の記憶だけは起きてすぐに書き留めておいた。もう何描いてるんだか自分でも読めないのだが、半分寝ながらノートやメモ用紙に殴り書きする。絞り出すように記憶を出し切って書き留めたら一旦寝かせておいて忘れる。忘れた頃に眺めてみるととても面白い発見がある。

昨夜は久しぶりに記憶に残る夢を見た。

『友人の〇〇ちゃんがオフィスみたいな場所で追試の申し込み用紙を準備していた。私も追試組なのでつられて申し込み用紙を準備することになった。友人はもう事務室で合格通知をもらっていて、別の手続きに取り掛かっていた。私のぶんもある。あれ？私も何故か合格通知。追試を受けた記憶もないのに私たちは二人とも見事合格しているのだ。待て。でも確かにテスト用に配られたボールペンの書き心地が私好みだったことを覚えている。やっぱり試験は行われていたようだ。なんだかわからないけどよかった』

こんな具合に見たまんま、体験したまんまを書き残す。

この度の登場人物は現実世界で実在する大切な友人だが、時には登場人物全員見知らぬ人のこともある。夢の中は本当に自由で面白い。無理に辻褄合わせせずそのまま受け止める。

夢日記を推奨する人は多い。しかしガイドブック的なものに当てはめて良い悪いに振り回されると不安の先に依存がきたりすると厄介だ。私もそうなりかかったことがある。自分以外の観念に全てを委ねてしまうのは危険だ。分析と判断はあくまで自分だけでやる。そう決めてからは楽しめるようになった。

夢の中ではなんの縛りもない。

身ぐるみを脱いだ状態で過ごせる貴重な場所。

昔はよく悪夢にうなされていた。玄関のドアがこじ開けられるギリギリで目覚めたり、掛け布団を引き剥がされると同時に体が宙に浮きかけて絶叫したり。悪夢といってもその程度で、俗にいう金縛りみたいなおどろおどろしい心霊現象体験はない。日常の場面がそのまま出てきて縛りを夢の中まで侵食させてしまうから苦しくなる。

日常の場面は食い込んでいても、ただなんとなく宙に浮いているとか天井あたりの高さをす〜いすい普通に飛んで移動していたり。ファンタジーなものも結構ある。

 何が腑に落ちたのか？「そういうことか」とはっきりした口調で漫画みたいに直角に体を起こして目覚めたこともある。あの時は自分でもその姿が面白くて笑ってしまった。

眠りに入る瞬間を捉えたこともある。ぼやけた小さな穴がだんだん大きくなっていき、そこをくぐると夢の舞台に入る。ちょっと後退りしたらまた穴が小さくなって周りの黒い部分に覆われる。つまり目を閉じた状態の視界？「うわっおもしろい！もう一回！お願い！」と、子供のように出たり入ったり。あまりしつこいと却下されて記憶がなくなってしまう。

久々にまたやってみたいが、最近爆睡なので無理だろう。

私はどんなにショックな出来事があろうと、うつ状態だろうと、不眠だけは縁がない。旅行の前日にワクワクしすぎて眠れないことはあるが、大抵は眠るまで数分もかかっていないと思う。あの変なワープで遊んでいない限りは。

それって「うつ」じゃないんじゃないの？　そう思ったこともある。思考の量が多すぎて頭が疲れるため『断固として眠りだけは譲れない』という身体の主張だと思っている。

 最近はもっぱらファンタジーで夢の中の自分はご機嫌だ。

なぜだろう？現実世界の仕事もプライベートもうまくいっていると思っていた時期の方が悪夢が多かった。今は現実世界が逆境のはずなのに、昨夜の私はニコニコご機嫌で友人と過ごしていたのだ。寝覚めはもちろん良い。

夢の中の素っ裸の自分の機嫌を信じようと思う。

無理して周りに合わせてうまく世渡りする自分を信じると悪夢を見ていた。たぶん偽物だから。自分に嘘をついているから。

自分の本質で生きているときは悪夢を見ないんじゃないかと思う。世間から見てどんなに落ちぶれているとしても。それは自分にしかわからない。

外の世界に惑わされず、かといってうちなる世界にこもりっぱなしにならず。自分の中の大勢のこびとたちと相談しつつ意識して地に足つけていこう。すぐ宙に浮こうとするから。

今日のパン生地。冷蔵庫で一晩寝かせる発酵パターン。いい夢みて明日パンパンに発酵してくれるだろう。