野鳥にささやかれた朝
聞き慣れない鳥の鳴き声で目覚めた。カーテンを開けると窓の斜め上方の電線に留まっている野鳥がこっちを向いた。これといって特徴のないスズメとモズの間ぐらいの大きさの子だ。
ジジジジ…に近い、イルカのソナーを聞き取れるように加工したみたいな音だった。けっこう長い間聞こえた。写真を撮ろうとしたが飛んでいってしまった。（鳥つながりでロシアの鳥さんに代役をお願いする）
その子の歌につられて起き上がる。いつもならタブレットで語学アプリを開いて30分程度集中するのだが、この静かな時間帯を見直そうと思った。日中の騒音対策のために。
騒音のことだけではない。雑念を吸い取った1日の終わりに書く文章はひねくれていることが多い。そのひねくれも自分が産んだ産物ゆえ、飾らずありのまま出していた。ノートにこっそり書く日記ならそれでもいい。毎日飲み込んでは吐き出す毒。溜め込むよりは健全だ。しかしこのブログという特殊な場でそれだけが目的になると自分自身つまらない。ちょうど開始1ヶ月を迎える前に立ち止まって全体を眺めることを野鳥に勧められている気がする。
日記や物語を書いていてもそうだった。早朝の文章と夜遅くの文章の質はどこか違う。朝が良くて夜が悪いのではなく。そのグラデーションというか、人間という生身の自分の揺らぎが目に見える形で出ることがある。寝起きのデタラメさと就寝前のデタラメさ。どちらもある方が面白い。朝の方が確かに考えずに文章が出てくる感じがする。カメのきっちゃんと見つめ合ってコンタクトを取ることはできても、何かのお告げが天から聞こえてくることもなければ何かに憑依されて自動書記をするような経験もない。私はそんなすごい人ではないのだ。超人・仙人みたいな神のような完成された人にはなれない。思考量が支離滅裂で多すぎる。好奇心旺盛な子供のままの自由意志がまだ生きているから。
日常のストレスにさらされると第三者の概念を取り込んでしまう。考えなくてもスルスル出てくる通常思いつかないようなアイディアや、これが私だ！私はこれが好き！と選んだ思考を、出る杭のように打ちのめそうとする第三者の概念。生きていれば誰だって日々さらされる常識という集団圧力の素になる固定観念。
それに必死で抵抗して毒のある文章を吐き出す醜い自分は、1日の終わりでつく眠りの中にそれを引きずり込まないように頑張っているのかもしれない。
ハハッ…語学アプリを立ち上げたままこっちにはまっていたら「今日5分ありますか？」と催促されてしまった。今日で毎日レッスン継続356日目になる。飽きっぽいはずの私にしてはよく続いている。飽きっぽいという決めつけももう捨てていい頃だろう。こんな出来損ない脱線アデリーペンギンでもやるときはちゃんとやる。やらないときはカメとしゃがんでいじけていてほんとにやらないが…。
この地球上で結果が外界に具現化されるには時間差という概念がつきまとう。未来の夢を叶えるために時間差という苦難を生む。しかし『期待』はなかなかのクセモノだ。今までは期待というポジティブに聞こえる結果に執着しすぎていた。夢や希望の世界を無理して生きるのは難しかった。
だからやっと心底瞬間だけを生きるほうが自分らしいと感じるようになった。
考えたり思ったりじゃなく感じるようになった。まだまだ第三者の概念に影響を受けて過去がしつこくしがみついてきて、絡まれ呑まれて闘うことも多い。
しかしこれでいいのだ。天才バカボンのパパのように。
何に向かって何をしようとしているのかわからなくなることもある。それでも私はそんな瞬間も好きになっている。ぼんやりとだが、この先最大のテーマである『自分なりにちゃんと生きてちゃんと死ぬということ』にとりかかれた気がする。ちゃんと終えることはちゃんと生きること。常識として正しく終えるのではなく自分として終えること。自分の死と向き合うことは悪ではないと思う。目を背けないでいると死は意外に優しい。
理不尽なくらい短命だった我が最愛の友人たちの人生が悲劇ではなかったこともわかる。親友も先輩も祖母も母も。彼女たちはみんな濃厚な自分を生き切った。今もその濃厚な生き様は私の人生の中で生きているし、多くの哲学を残してくれた。時間の長さで人生の質が図れないことぐらい私でもわかる。だからといって何か偉業を残そうと頑張ることはない。私はすぐに頑張ろうとしてしょっちゅう撃沈する…生き様見せないとダメだという観念自体が不自然であることをすぐに忘れるのだ（笑）
おやおや…？やっぱり早朝のほうがすんなり書ける。
いつだったか、一番やりたいことを朝一番にするって意気込んだことがあったな。忘れていたが思い出した。しかし忘れすぎやろ……。いやいや忘却もまた必要な生体防御システム。全ての責任を丸投げして忘却に酔いしれたいとは思わないが、過敏すぎる神経を癒すためには上手に活用したい。
さて、お尻叩かれてるからちょっと勉強してくる。今のメインは中国語。いろんな音を含むメロディーが美しいし日本語の漢字よりも書きやすい字が多いのも楽しい。趣味のロシア語はかなり難しいため長いスパンでゆっくりと。中国語はもっと実用的な身近な感じでやっていきたい。同じ東洋の美しい文化を大切に。ハングルもどこかで取り入れたい。韓国の方は身近というか、個人的にはもうほぼ境界線を感じないくらいになってしまっている。日本語堪能なみなさんについ甘えてしまいがち。課題は山積み…でも今やれるのは今日のレッスン。
さて勉強と洗濯と掃除へ行ってきます。
