みぐるみん

身ぐるみ脱ぎ捨て自由に生きる。おひとり様引退ナースが人生でやり残したことをやるために創った空間です。

思いがけず出来た続編を発表します「第二話 カマキリさんとの再会」

こんにちは。mimikobitoです。 

はじめに

昨日起きた出来事なのですが、

通信機器の調子が悪く写真が上手く取り込めなくて、

公開が今日になりました。

思いがけない続編ができたのです。

正直、ちょっと迷ったのですが…、

お蔵入りにするのはもったいないので出します。

第一話にあたるのが、こちらの過去記事です⬇️

mimikobito.hatenablog.com

今日は、この続編物語のみとなります。

それでは、どうぞ!

第二話 カマキリさんとの再会

2021年11月19日。

相変わらず、日中は小春日和の瀬戸内海沿岸部。

牡牛座満月の部分月食という天体イベント日でもあり、

月に向かって遠吠えしたくなるような日だった。

通信機器の不具合にフォーカスしてしまい、

一日中気を取られていたわたしは、

ぼんやりしながら庭に出た。

すでに洗濯物は干してある。日当たり良好な庭は、

今日も玄関脇の花に群がる虫たちで賑わっていた。

 

わたし「あっ…」

カマキリさん「うっ…」

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探すつもりなど、もうとうない。

初めて会ったときだってそうだった。

保護色というものが、なんのために存在しているのか?

森羅万象が積み上げた壮大な進化の歴史が、

再び一瞬にして叩きのめされる…、

悲劇の第二幕があがる。

 

わたし「ほんと奇遇やね。こんにちは」

カマキリさん「あ…まぁ…その…こんにちは」

わたしはよく過ちを犯す。

しかし関心なのは同じ過ちを繰り返さないため、

秒で凹み秒で立ち直る…つまり学習するのだ。

「今日のわたし」は「前回のわたし」ではない。

「ちゃんとググった後のわたし」なのだ。

今回は落ち着いて撮影の準備をする。

なんとなく慌てなくていい気がした。

庭に戻るとカマキリさんは、

微妙に体の向きを変えていた。

 

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わたし「あら、もうごはんの調達終わりなん?」

わたし「そういえばもうお昼時間過ぎてたな。ただの日向ぼっこ?」

カマキリさん「あぁ…まあ…そんなとこですけど」

カマキリさんは、よそよそしく少し視線をずらし、

自分からゆっくり地面に降りようとしていた。

無視無視…とにかく、まずは目を合わせんことや。

もうその手には乗らんちゅうねん。

カマキリさんも、あれからいろいろ考えて学んでいた。

わたしも十分反省した。

獲物を取るために待機していたカマキリさんの習性を知らず、

木杓子で花の茎から誘導して地面に下ろしてしまったのだ。

無知ゆえに、余計なお世話を押し付けてしまったことを、

謝罪するためちょうど良いタイミングで再会できた。

満月のミラクルな引き合わせとしか言いようのない再会だった。

わたしは心からの謝罪と友愛を込めた眼差しで、

地上に降り立ったカマキリさんに微笑んで手を差し伸べた。

 

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カマキリさん「なっ…なんやねん」

わたし「………」

よそよそしいながらも、

カマキリさんはもう威嚇のポーズを取らなかった。

「天然」な人間に威嚇など通用しないことは前回学んでいる。

この行為をどう捉えれば良いのだろう?

カマキリさんは一瞬たじろいだ。

相手に敵意がないことはわかっている。

なにせ天然なのだ。

ほら、にっこり笑ってる。

まさか…どうぞ手に乗って😘とか…

仲直りのお近づき?…そういうことなんかな…?

しばらく見つめ合う二人。

わたし「お手っ」

カマキリさん「そっちかい💢」

カマキリさん「するか〜そんなもん💢💢」

わたし「ふふっ…今ちょっと前足ピクッとしましたよね…」

カマキリさん「ハァ〜?普通に歩こうとしただけですけど」

あーもうアカン、やっぱこのオバさん、

うざ〜めんどくせ〜無視無視。

カマキリさんは、なんとなく斜め前方にある石に向かった。

太陽を浴びた石はほっこり暖かくて気持ちがいい。

朝夕が結構冷えてきたため、このひとときは貴重だった。

サイズ感もちょうどいい。

カマキリさんはゆっくり舞台のような石に上った。

 

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わたし「プッ…おにぎりの表面にくっつけた具みたい…」

カマキリさん「ぬぁんやと〜くぉら〜💢」

カマキリさんが、レンズ越しに顔を近づけてくる。

わたし「いやっ…ヒィ〜近い近い近い〜」

わたし「…プッ…わりと童顔?…か・わ・い・い〜❤️」

カマキリさん「ム・カ・つ・く💢」

私たちは互いにからかい合った。

しかしそこには敵意は存在せず、

何かしら不思議な友情が、

かすかに芽生える気配を互いに感じていた。

カマキリさんはゆっくりと石から降りた。

そして突如、急速に距離感を縮めてきたのだ。

わたしは一瞬どうしていいか分からなくなった。

動揺してうっかり撮影も忘れている。

いやいやいや…なんでいきなり積極的やねん???

カマキリさんはわたしのクロックスをよじ登り、

手を引っ掛けやすいレッグウォーマーをがっちりホールドした。

ま、まさかの急接近。

わたし「ちょ、ちょ、ちょっと…待っ…」

カマキリさん「…………」

なに少女ぶってんねんオバはん(笑)

カマキリさんは意外な反応にほくそ笑んだ。

勝ち誇ったような気分だった。

ざまぁ〜。。。

所詮、余裕かましてるフリしてても、

昆虫の恐ろしさというものを、人間は感じ取っているのだ。

わたし「ちょっとアンタ。なに覗いてんの?」

カマキリさん「は?」

わたし「今、スカートのなか盗撮しようとした?」

わたし「複眼があったりする虫さんもいるぐらいやし…」

わたし「ひょっとして…カメラレンズ内蔵してたりするんちゃうの?」

カマキリさん「盗撮て…レンズて…それアンタのキッツイ妄想やんか

わたし「あのねぇ、それってもう定番すぎるぐらい定番なわけ」

わたし「政治家や著名人がハメられて捕まるお約束の罪状やんか、知らんの?」

カマキリさん「知るかそんなもん」

そんな人間の事情とか知らんけど、

知ってたとしても…アンタだけはないわ。

しかもどんだけ厚着してんねん。

パンツ見える状況ちゃうやんけ。

まして見えたら罰金の域やてもう…捕まるのアンタやで。

女子高生とかキレイな若いお姉さん行くやろ…普通。

わたし「きゃ〜助けて〜誰か〜!」

わたし「スカート内盗撮犯現行犯ここで〜す」

カマキリさん「もおおおおお〜めんどくせー💢」

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カマキリさんは、ちょうどいい位置にあった

「たてす」へと避難した。

もう本当に勘弁してほしい。

どうして二度も遭ってしまったのだろう。

あれほど気をつけているのになんでまた。。。

 

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わたし「プッ…うっそ〜。じゃあまたね〜。ごゆっくり」

カマキリさん「………」

西陽を浴びながらカマキリさんは思った。

哀愁漂う背中が語る。

家出しよう。移住しよう。

少し高いところまで「たてす」を登ってみる。

「電車っていうのに乗ったら遠くに行けるかな…」

キョロキョロしてみたが電車なんて見たことないし、

それらしきものは見えなかった。

歩いたらどのぐらいかかるんだろう。

ちょっと飛んだりしながら。

なんなら鳥の友達でも作って乗せてもらうとか…。

いずれにしても、

この庭を出てどこか遠くに行きたい。。。

そのうち「名前」とか、つけられたりしたら…、

勘違いされちゃあ困る…たまったもんじゃない。

 

わたしは何事もなかったように、

洗濯物を取り込んで家に入った。

カマキリさんがどう感じたかは知らないが、

わたしとしては、ちょっと嬉しい気分だった。

今度はもう少し「お手」できるまで粘ってみよう。

最近挙動不審というか、

気が散る落ち着きのない状態がマシになったから。

もっとこれからゆっくりと、仲良くなれるかもしれない。

部屋に戻ったわたしは、ある本を手に取って微笑んだ。

「幻想ネーミング辞典」

大昔に古本屋で見つけ、何故か手元に残してあった一冊。

なんとなくだが、カマキリさんは、

わたし的に「サ行」か「ラ行」のイメージだった。

次に逢えるのを楽しみに…わたしはページをめくった。

おわりに

第一弾に比べ、笑える点での破壊力は少ないのですが、

奇跡的な再会でしたので、記録させて頂きました。

一部マニアの方からの「おかわり!」リクエストに、

応えられるクオリティではありませんが(笑)

やはり今日もうっかり最後まで読んでしまった、

親愛なる読者さんに愛を込めてお送りしました。

クサガメのきっちゃんも爆睡し、

カマキリさんともまた、

逢えるかどうかわかりませんが、

ささやかな自然との時間を大切に、

この冬を乗り切りたいと思っています。

では、みなさまごきげんよう

最後まで読んで頂きありがとうございました。