みぐるみん

身ぐるみ脱ぎ捨て自由に生きる。おひとり様引退ナースが人生でやり残したことをやるために創った空間です。

以心伝心ミラクル劇場「第三話 家出しなかったカマキリさん」

こんにちは。mimikobitoです。

はじめに

大雨のあと突風が吹き荒れ、

急激に日中の気温が下がった今日の出来事。

まさかの…もう大半諦めていたまさかの…、

嬉しい再会のドラマが舞い降りてきたのです。

昨日の続編で人生観について書こうとしていたら、

こっちを先にアップしろと言わんばかりのタイミング。

わたしは常に「既存の計画」よりも、

「タイミングよく出くわした偶然」を優先します。

計画通りに物事を進める人生など…、

国家から強制的に配布された教科書のページを、

全員同時に前から順番にめくる行為にすぎず、

わたしにとってこれほど、苦痛で退屈なことはないからです。

(⚠️これは変態の常識です。マトモな方にとっての非常識です…)

よって、本日は予定変更。

「カマキリさんシリーズ第三弾」に決定!

ちなみに第一話、第二話はこちらです⬇️

(マニアックでお時間のある方…よろしければどうぞ!)

 

mimikobito.hatenablog.com

mimikobito.hatenablog.com

 

第三話 家出しなかったカマキリさん

2021年11月23日(火)勤労感謝の日

わたしは洗濯物を取り込みに出た。

通りすがりにふと、玄関脇の井戸の蓋に目をやる。

 

わたし「まだ名前も決まっていないのに…」

こんなに早く再会できるなんて思いもしなかった。

ついついゆっくり考えていたのだ。

やむを得ず、今回まではカマキリさんと呼ばせて頂く。

わたし「参ったなぁ…また不意打ちかよ…」

そう言いつつも嬉しくて、

iPadを取りに階段を軽やかに駆け上がる自分の、

目尻が下がり…小鼻が膨らんでいるのがわかる。

じわじわと込み上げる安堵感がなぜなのかは、

自分が一番よくわかっていた。

本当に家出してしまっていたらどうしよう。

正直わたしは、心のどこかにそんな不安を抱え、

やってきた冬の空気感が、微妙な寂しさを助長させていた。

カマキリさんが家出していようが、していなかろうが、

「もう今年は会えないかもしれない」という諦めだった。

だからこそ、不意にそこにいたカマキリさんに、

とっさのリアクションがうまくできなかった。

 

井戸は玄関の右側にあり、

玄関の左側にカマキリさん定位置の花と石臼がある。

今朝は急に冷え込んで風も冷たく、

陽射しもたまにしか注がない冬っぽい日。

花の周りにも餌になりそうな虫はおらず、

昨日の大雨で土も湿って冷たいのだろうか?

井戸の蓋は竹で出来ていて、

ときおり陽が当たると暖かいのかもしれない。

 

わたし「思いとどまったんやね…何してんの?寒いのに」

カマキリさん「別に…思いとどまるって、なにがやねん?」

わたし「いや、まさか家出とか…してないかなと思って」

カマキリさん「は?なんで家出やねん」

      「コロナも完全終結してないねんからウロウロしたらあかんやろが」

      「あんた元ナースやろ?この家にゃ年寄りもいることやし」

わたし「意外に慎重なんや…でも…お気遣いありがとう」

カマキリさん「フン…まあな。この冬越してみなわからへんのんちゃうか」

      「ただの野生の勘やけどな…あんたらの世界はややこしすぎる」

わたし「コロナが終わって、春になったらやっぱり家出したい?」

カマキリさん「…………」

 

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玄関右脇にある井戸の蓋の上。いつもは玄関左脇の花の根元にいる。

しばらく二人は沈黙していた。

そして当然の流れとして…、

一部マニアの読者さんからの期待にお応えすべく、

わたしが脇目も振らず真っ先に挑んだのは…、

当然でしょう…リベンジ!

無言のままカマキリさんはわたしに背を向け、

井戸水を組み上げるモーターの壁に手をかけた。

つるんとした壁は登るのに不具合が多く、

無謀であることはカマキリさんも承知していた。

別に登りたいわけじゃない。

ただなんとなく気まずいというか、

その場しのぎのため身体を動かしただけだった。

リベンジ!リベンジ!リベンジ〜!

背後にオバはんが忍び寄ってくる。

カマキリさんは嫌な予感がした。

わたし「お手っ」

 

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カマキリさん「ハッ…」

わたし「うぉぉぉ〜!お手した〜」

 

どーなんさん!!!

ご覧になってくださってますか〜?

本当に、どーなんさんの言った通りになりましたよ!

(『 おてっ、きっと次に会ったらしてくれそうですね 』コメント欄より )

 

引っかかりにくい、

つるんとした素材の壁を登ろうとした際、

「どこかにつかまりたい」という心理を、

わたしは姑息にも利用したのだった。

なんという汚いやつなのだろう。

自分でも思った。姑息な誘導。

人間ほど醜い生き物は地球上にいない。

 

カマキリさん「クッ…しまったヤられた…汚ねえぞ」

わたし「以・心・伝・心〜テレパシー!ふぉ〜!」

カマキリさん「やかましいわ💢」

無視して地面に降りようとしたが、

どうも慣れない場所で上手くいかない。

それに…コイツがやっぱり気になってしまう。

またなんか変なこと考えてないかどうか、

目を離すと逆に危険なのだ。

カマキリさんは井戸蓋の上から降りかけて、

また這い上がってきた。

顔を近づけてもなんともなくなっていた。

威嚇するのさえもアホらしい。

 

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これで三回目。

偶然ばったり出逢ったのも三回続けば何かのご縁。

こんなオバはんでも出逢ったことに何か意味があるかもしれない。

突風がキツくなってきた。気温も下がってくる。

カマキリさんは前回よりも元気がなかった。

いくら温暖な地域でも、そろそろ冬だからだろう。

なんとなく動きの鈍いカマキリさんを見ていると、

わたしはまた、不意に木杓子を差し伸べたくなった。

今度こそは本当に降りたがっているように思えたのだ。

(初対面の時は無理矢理木杓子に誘導して狩りの邪魔をしてしまった)

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小慣れた感じでカマキリさんは木杓子に自ら乗り込んだ。

もう二度目なのでコツはわかっている。

オバはんは「結婚披露宴のゴンドラ」とか言ってたな。

わたしはそっと木杓子を持ち上げ、

カマキリさんをいつもの花の茎の上に降ろした。

 

わたしが洗濯物を全て取り込むまでの間、

カマキリさんはじっとわたしの姿を、

目で追うように見ていた。

時々後方に回って声をかけたりすると、

何度も「ハッ!」とするリアクションを見せてくれた。

初めて見た時はそのリアクションこそが、

ブログネタ第一話になったんだっけ。

まるで遠い昔のような気さえした。

感動も慣れてしまえばただの日常になる。

逆に言えばただの日常の中には、

昔むかし感動した純粋な瞬間が、

たっぷり含まれているってことかもしれない。

今度こそもう、お互い冬籠になるかも。

もう二度と会えないかもしれない。

そんな気持ちで瞬間を生きていこう。

そう決心したわたしはカマキリさんに告げる。

「いろいろありがとね。じゃ、また逢おうね」

カマキリさんは洗濯物を抱えて玄関に入るわたしを、

じっと優しい眼差しで見送ってくれた…と思っておこう。

おわりに

またまたうっかり第三弾まで引っ張られてしまい、

ブラックホールの縁に小指だけ引っかかったみなさん、

お疲れ様でした。そしてお付き合い頂き感謝しております。

体調不良やお怪我はございませんか?

さすがにもうこれで完結編となるでしょう。

「3」という数字はなぜか昔から好きなんですよね。

いい感じでキリがついたのですっきりしました。

次回は真面目な人生観を語れそうです。

しかし今回の記事がウケ狙いで不真面目かと言いますと、

案外そうでもないんですよね。

ささやかな自然や生き物との関わりのなかには、

人間同士の交流同様、

多くの尊い学びが含まれています。

特別ドラマティックな出来事など必要ないのです。

誰もが与えられている清らかな水の流れ。

背骨を駆け巡る澄んだ綺麗な水の流れは、

私たち人類全てに分け隔てなく与えられ、

誰もが既に持っています。

森羅万象との折り合いが「水の流れ」を左右します。

またその辺はこれから学んでいこうと思います。

では、また!風邪ひかないように!

最後まで読んで頂きありがとうございました。